木苺の棘
「あの、私に聞きたいこと
 大切な話って何・・・?」

驚いた私は、持っていた
上着を地面に落とした。

拾おうにも、敢さんに
抱かれて動く事ができない。

地面に落ちた上着へと
手を伸ばす私。

「動くな
 動かないで」

何が何なのか分からないまま
私は、敢さんの腕の中
懐かしい香りに酔う。

ボソっと、私の耳元で
語り出す声は、巽に似ている

「アイツはどんな想いで
 死んでいったんだろう?
 
 愛するお前を残して
 死ぬのは堪らないだろうな
 
 ごめんな・・・
 
 俺がムショにさえ入って
 いなければ、アイツを
 命に代えても守ることが
 できたのに・・・」

苦しい・・・
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