木苺の棘
何も言わないのは、貴女を
これ以上傷つけたくないから

「私ったら
 ごめんなさい」

我に返った私は、敢さんの
腕から逃れ、その場を後にした

ここは、賑わうお店。

ボーっとする、私。

「モカちゃん
 その、大丈夫?」

「あっ、はい
 ごめんなさい
 
 何でもないの」

何でもない・・・

敢さんは、巽じゃない。

そんな事、分かってるよね?

アリス?

貴方が愛しているのは
漣だけだよ。

「あの、それ
 新しい週刊誌ですか?」

更衣室で帰る身支度をする
女性の手には芸能週刊誌。
< 559 / 674 >

この作品をシェア

pagetop