木苺の棘
病院の救急外来の扉から
院内へ入るのは、これで
二度目。

私の足が立ち止まる。

「モカちゃん、どうかした?」

「いえっ、何も・・・

 あの、すみません
 椎名敢さんが、今夜
 救急車で運ばれてきたと
 思うのですが?」

「シイナさん?ああ
 どうぞ、こちらです」

案内されたのは、救命救急病棟

部屋の前には、数人の
強面(こわもて)の男性が
立っていた。

「ツユカさん・・・
 
 そちらの貴女は確か
 タツミ兄貴の恋人?」

会釈を交わす、私。

「イサミの具合は
 どうなんですか?
 
 彼は・・・」

「大丈夫ですよ、弾は
 脇腹を掠っただけです」
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