木苺の棘
ホッと安心した、露歌さんの
張詰めていた糸が切れ
彼女は、その場にしゃがみ
込んだ。

「良かった
 命に別状が無くて・・・」

私もまた、ほっと息をついた

「どうして、こんなことに
 誰がイサミを?」

「さあ、詳しい事は
 私達には分かりませんが
 ただ、ムショを出た後
 兄貴は組をやめたい
 そう言い出したかと思えば
 
 今度は何かに囚われたように
 タツミ兄貴の死の一件を
 嗅ぎ回る日々

 どうも、当時、対立していた
 組の人間にまで、しつこく
 死の真相を聞いたようで
 疎ましく思われた結果
 今回のような事件に・・・」
 
「イサミを撃ったのは違う
 組の人間の仕業なのね?」

「はい、犯人は先ほど
 出頭したようです」
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