木苺の棘
『今夜は、逢えないの』

漣に逢えるなら

今すぐ逢いたいよ。

レン・・・・・・

その時、私の手に触れる
温かい手。

驚く、私・・・

「イサミ
 起き上がっちゃ・・・」

上体を起した敢さんは
私を引き寄せ抱きしめる。

貴方の、胸に頬を寄せる私
に聞こえる貴方の心臓の音

聞こえなかった

巽の心臓の音が、今

聞こえたような気がした。

流れる、涙・・・

「死んじゃ、やだよ」

敢さんの胸元のシャツを
握り締める私。
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