木苺の棘
「イサミさん、離してください
 今すぐ、誤解を解かなきゃ
 私は、貴方を・・・」

詰まる声・・・

私を抱いたまま、貴方は言う

「言わなくても、いい
 お前の気持ちは知ってるさ
 
 しばらくでいい
 このままでいさせて

 このままでいいんだ
 このままで・・・」

これで、アイツは俺を諦め
忘れられるだろう。

敢さんが、露歌さんを自分から
遠ざけるために、彼女の前で
私を抱きしめた事を知ったのは
ずっと後の事だった。

貴方が私を愛し始めていた
事を知ったのも、ずうっと後

「このままで・・・」
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