木苺の棘
「ありがとう」

愛しい人の手が、私の頬に
触れた。

逢いたかった貴方が
ここにいる。

「昨夜
 眠れなかったのか?」

私は、黙ったまま頷いた。

「目の下、すごいよね?」

「少しだけな・・・」

「レンは、眠れた?」

「いや、追加公演の打ち上げに
 付き合わされて、ずっと
 飲んでた
 
 まだ酒が抜けてないかも
 ・・・」

そう言って、微笑む漣。

「昨夜は、ごめんなさい」

漣は、ゆっくりと
顔を左右に振る。

「急に連絡した俺が悪い」

穏やかな朝・・・

静かな時間・・・
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