木苺の棘
重い足どり・・・

アリス・・・

傷ついた俺の胸は
寂しさで凍えそうだ。

漣・・・

私は、どうすればいいの?

「アリス、今日は?」

「マミちゃん、ごめん
 今日はちょっと・・・」

私は、営業時間を終えたお店
のドアから、外へ飛び出す。

漣が待っている・・・

早く・・・

一秒でも早く、貴方の元へ
帰りたい。

私が、部屋を出て行く時の
貴方の寂しげな表情が
接客中もちらついて・・・

貴方に逢いたい気持ちを
募らせる。

早く、漣を安心させてあげたい

笑顔でいっぱいにしてあげたい

タクシーを停める為に、私は
右手を精一杯、高く掲げた。
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