木苺の棘
八重は、両親の離婚で
憂鬱だった想いが、先輩の
家の近くに住めるその嬉しさで
吹っ切れたように明るくなった

「すごく近いんだよ
 ねっ、タマキ先輩?」

八重は、私に答える隙も
与えてはくれない。

「ああ、昨日
 練習帰りに立ち寄った
 いつものコンビニで
 偶然、ヤエに会って
 驚いたよ」

「タマキ先輩、とても
 驚いてたようには
 見えなかったですよ」

「驚いてたけど・・・」

八重は、ずっと先輩に
話し続ける。

「うそ・・・?

 そうだ、タマキ先輩の
 ギターケースに付いてた
 あの、キーホルダー
 
 あれって
 ギターですよね?」
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