木苺の棘
窓から車内を覗くと
座席に、リングケースが
置かれているだけ・・・

辺りを見渡し、漣は
アリスの名を呼び、姿を探す

「アリス、アリス」

「どうした?
 
 ここで待ってろって
 言ったのに、アイツ・・・」

困った表情を浮かべる
チアキ。

漣は、建物の入り口付近
を見つめ、あることに
気が付いた。

「まさか、アイツ」

「ちょっ、タマキ」

きっと、アリスは俺と
彼女の関係を誤解したはず・・

走り出す、漣・・・

「タマキ・・・」
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