木苺の棘
『たまき先輩
 
 お願い
 お願いだから
 
 私を好きになってほしい
 私は、ずっと貴方が・・・」

お前は、友を裏切り
決死の覚悟で、俺への想いを
言葉にしてくれたのに

俺は・・・

『アリス、ごめん
 
 お前の願いを今の俺は
 聞いてやることができない』

あの時、俺は俺の想いの
ままに、お前を抱きしめて
お前を受け入れてやれば

俺の想いを、俺の愛を
お前に伝えてやればよかったと
何度も、何度も後悔した。

愛する女の願いぐらい
聞いてやればよかったと・・・

『レン
 逢って話がしたいの?
 私、昨夜の事を
 貴方に謝りたくて・・・』

一方的に切った、通話・・・
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