木苺の棘
『アリスなんて
 
 ファンタジックな名前
 
 私、好きじゃない』

『私だって、ヤエだよ
 
 何、この今どき
 ノスタルジックな名前
 
 有り得ないよ』

共通の悩みを持ち、将来は
改名しよう、そんな約束まで
交わした。

必死に受験勉強に
勤(いそし)んだ日々。

『絶対に
 同じ高校に入ろうね』

いつも、どんな時も私達は
ひと時も離れずに傍に居た。

繋いだ手を解く事など一度も
無かった。
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