木苺の棘

愛しとう

リングケースを見つめる。

そう、私は

漣と結婚する・・・

「レン、これって
 結婚指輪だよね?」

「ああ、昨夜
 お前に渡そうと思って
 
 お前だったら、きっと
 気づくだろう場所に
 置いておいた」

昨夜・・・

ドアに手を触れると
鍵は、開いたまま。

「鍵、かけるの忘れてた」

「用心しろよ
 一人暮らし、危ないぞ」

漣は、玄関の棚に帽子と
眼鏡を置いて、屈んで
靴を脱ぐ。

昨夜のこと
貴方は何も聞かない。

その後ろ姿に、私は
話しかける。

「レン、昨夜のこと
 聞いてくれる?」
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