木苺の棘
「それに、挨拶もせずに
 辞めてしまって・・・」
 
「そうよ
 皆、寂しがってるわよ
 
 そうだわ、今度
 送別会しましょう
 
 リラちゃんに話しておくから
 貴女は、強制参加ね」

「はい、喜んで」

「それじゃあ」

歩いて行く、露歌さんを
私は呼び止めた。

「ツユカさん・・・

 私とイサミさんの間には
 何もありませんから」

彼女は、微笑んで手を振り
敢さんの元へ急ぐ。

結局、送別会は
行われる事は無かった。

露歌さんに会ったのは
この日が、最後・・・

その後、彼女がお店を
辞めた事を、マミちゃんから
聞くことになる。
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