木苺の棘
走り出した車内。

私は、窓から流れる景色を
見つめながら

露歌さんの最後の言葉を
思い出していた。

『ツユカさん・・・

 私とイサミさんの間には
 何もありませんから』

『何もない、なんて事は無いわ
 少なくともイサミは
 あなたを愛してると思う
 
 病室であんな風に女性に
 甘える姿、初めてみたわ

 それが私を遠ざける手段
 だったとしても・・・

 イサミが、あなたを
 愛していても、私は
 やっぱり、イサミが好き』

人を、愛する事で
人は、いろんな想いを知る。

辛い、悲しい、苦しい

嬉しい、楽しい、幸せ

人を愛すること

それは、素敵なこと・・・
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