木苺の棘
私と、色違いの洋服に
色違いの髪飾り・・・

だけど、たまき先輩に
選ばれたのは私じゃない。

ついさっきまで、私は
すごく、ものすごく
この時を楽しみにしてたの

ステージでギターを弾き
歌う貴方を初めて見つめる
嬉しさは、悲しみに変わる。

貴方を、ずっと

遠くに感じるよ・・・

たまき先輩・・・

今、貴方と瞳が合ったような
気がしたけど、それは錯覚
だよね。

貴方の瞳に映るのは
私じゃない。

貴方が、見えない。

鼻を啜る音は、演奏の音に
掻き消される・・・

私は荷物も持たずに
その場所を逃げ出した。

「アリス・・・」
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