木苺の棘
「いいから、ほらっ
 手広げて」

広げた私の手の平に
たまき先輩は、ジュース代
を置いてくれた。

「先輩、10円多いよ」

貴方は、にっこりと微笑んだ。

その笑顔

本当に好きだったんだよ。

自動販売機のジュースを
選びながら、私は溢れる涙を
サッと拭った。

「じゃあね、アリス
 バイバイ」

「バイバイ」

二人が並んで歩く後姿を
見送ることにも慣れる日が
くるよね。
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