幼なじみは俺様彼氏
そう言って笑う香保里チャンは切なそう。




「海も行ったし、いつか行くのはわかってた。あたしが悲しいのはそんなことじゃないんだ。母親なのになって…情けなくて…。」

「香保里チャンは!!情けなくなるような母親じゃないよ?」




香保里チャンを元気付けたいのにあたしには言葉がなくて。




香保里チャンのとこに来てどうするつもりだったんだろう。





「楓…なんで泣かないの?」

「わかんない。頭も体もついてこないの。さっき聞いた話がグルグルしてて。」

「泣いていいんだよ?奏汰の重荷にならないから。」




あぁ、そっか。




それを怖がったんだ、あたしは。




気づいた瞬間涙が止まらなくて。





苦しいよ。




「楓…。何も知らなかったの?」

「うん…。奏汰はいつもそうなの。写真集のときも…。ギリギリに言うの…。」




あたしは行かないでなんて言わないよ?




どうして言ってくれないの?




痛い…苦しい…。





「香保…里チャ…」

「楓?楓!?過呼吸!?」





香保里チャンが慌ててたのを見ながら、あたしは意識を失った。



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