カゴの中の鳥
由美は、良子に言われた通りに、ずっと立っていた。
先程の恐怖が、由美をそうさせているに違いない。



どれくらい時間が経っただろうか。

風呂場の隣にある台所から、トントントンと、良子が料理をする音が響きはじめた。

由美は、反省などどこかへ行き、自分が見えない所で、良子は何をしているのかが気になりはじめ、台所に耳を澄ませた。

具材を切る音―――
ガスコンロをつける音――――
水道の音―――――

ご飯の準備かな、と由美は思いながら、立ちっぱなしで痛くなった足を、手でさすった。
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