自伝
涙が溢れた…。


別れた奥さんと居るということではなく、見つかった事にだった。


「別れた奥さんとは一緒に暮らしていますが、籍を戻した訳ではなく、おそらく偽装離婚かと思います。」


もう、そんな事はどうでもいい…


早く会いたい


それだけだった。


調べてもらった資料をそのままもらい、残りの報酬を支払った。


全てが分かるまでに結局100万以上がかかったけど、それすらも私には感覚がなかった。


「結局、神奈川に居るんだ」


資料には、今働いてる先も電話番号も書いてあった。


都内の倉庫で働いていた…。


とりあえず、電話をしようと決めて早速、電話をした。


手が震えて、ドキドキした…


もし、会ってくれなかったら、どうしようか…


もし、あしらわれたらどうしようか…


「もしもし」


「仲田と言います。
加藤さんをお願いしたいのですが…」


「少々お待ち下さい」



「もしもし」


早瀬さんの声だ!



「綾です…」


「はい…」


なんとなく、話しずらそうな雰囲気を察して、私から一方的に話し出した。


「会いたいです…。
会ってくれませんか?」


「…」


「じゃあ、いつもの場所でいいかな」


「渋谷ですね」


「そうだね」


「わかりました。ありがとうございます」


「じゃあ、7時に」


「はい!」
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