自伝
慌ててまた、お風呂場のドアを閉めた。

そのまま、後を追う子供達を言い聞かせて家を出た。


いらっしゃい。


「どうしたの?今日は元気ないじゃん」


「悟史さん」


「どうした?」


「頭…なでて…」


訳が分からないまま、クシャクシャってしてくれた。


「ありがと…」


「なんだかな、いったい何があったんだよ」


「ううん…何でもないよ」


ドアの向こうには


亮ちゃんとお母さんが楽しそうにお風呂に入ってた…。


まるで、私が翔を洗ってあげるように亮ちゃんはお母さんに体を洗ってもらってた。


お母さんにとっては亮ちゃんは自分の子供で…


亮ちゃんにとってはお母さんはお母さんで…


別に、あの家ではそれが普通なのかもしれない…


でも、私にはとても違和感を感じた。


私が感じた違和感はきっと、他の人も同じだよね?


あえて、理解しようとは思わない。


思えない…


私は心のゆとりが狭いのかな…?


ねぇ…


誰か答えて…


「綾ちゃん?」


「ごめん…何の話しだっけ?」


「何だよぉ…聞いてなかったなぁ!」


「ごめん…」


「今日また、あそこの定食屋行く?って話し!また、行きたいって言ってたじゃん」
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