自伝
2階の奥から2つ目の部屋


階段を登り確実に早瀬さんの住む部屋に近づいている。


「林田さん…私やっぱり…」


「大丈夫だから、しかも何で小声なんだよ」


「林田さんだって、小声ですよ」


ドアの前に来た



『きゃあー!パパ冷たいよぉ!』


お湯の音と楽しくハシャぐ子供達の声…

お風呂に入ってるんだ…


「…」


林田さんも私も黙ったまま、ドアを叩く事はせずに車に戻った。


涙が止まらなかった。


林田さんはずっと黙ってた。


早瀬さんのささやかな幸せを見てしまった気持ちだった。


そっとしてあげたい

今の暮らしが、幸せなら


もう、私は早瀬さんの前には現れない方がいい


今度は


私が罰を受けるから

きっと、林田さんもそう感じてたに違わない。


だから、ドアを叩く事はしなかったんだよね


これが


紛れもない…


真実なんだ。
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