自伝

幸せの始まり

引っ越したその日に、私は全てを失った気がした…


それでも、夜の仕事には通い続けた


悟史さんの店にも通い続けた


この頃には夜だけではお金が回らなくなってた。


ポストにはいろんなカード会社からの請求書だらけ…


「またか…今月も厳しいなぁ」


請求書の中に一通だけ茶封筒が混じっていた。


「東京…家庭…裁判所?」


部屋に戻って、請求書の束をテーブルの上に放り投げて、茶封筒を真っ先に開けた。


6月10日


離婚調停?


「何で?」


引っ越しの日に亮ちゃんが持っていた離婚届にサインした後、早速区役所に持って行ったら受理してもらえなかった。


亮が先回りして、受理しないでほしいという届けを出していたからだ。


だから、矛盾を感じた。


この日も悟史さんの店に行った。


いらっしゃい!


「今日は飲みたいな」

「大丈夫?帰りが大変だよ」


「大丈夫!結構湾岸線の安全地帯で車停めて寝るの慣れたし(笑)」


「朝早いんじゃないの?」


「大丈夫だって」
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