自伝
変わらず、悟史さんの店には行っていた。


悟史さんも私にお金を使わせないように、色々サービスしてくれたりした。


店では、悟史さんと私の関係は暗黙の了解だった。


店が終わるといつも2人でお昼まで出かけた。


悟史さんは免許を持っていなかったから、いつも私が運転してたけど

おかげで道も覚えたし

運転も上手くなった

必ず、悟史さんの家の近くまで送って行き、夕方また、同じ場所に迎えに行った。


ある日、時間まで駅の近くでお茶を飲んでいた時の事だった…


「そろそろ、行こうか?」


「うん」


車に向かう途中


「綾!」


「なに?」


「こっち見ないで!」

とっさに見てしまった…


私達の正面から、いつかの屋上にいた彼女が歩いて来た。


すれ違いざまに不可思議な笑みを浮かべて通り過ぎて行った。


「生きてて良かったね」


「…」


車に乗り悟史さんの店の前で止めた。


「じゃあ、後でな」


「じゃあね」


車の中で軽くキスをした


悟史さんが私の背後を気にしていたので、振り向いた時だった…
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