自伝
第5章

逃避行

どれだけ時間が経ったんだろう…


時計を見てみると、まだ30分しか経ってない。


荷物の整理も終わって、一息しようと思った時に電話が鳴った。


「もしもし?」


「綾?」


「お母さん!!」


「どお?引っ越し終わったの?」


「うん、ちょうど今終わったところ」


「そう…元気にしてるの?」


「なんとかね(笑)最近お酒の飲み過ぎで胃が痛いよ」


「綾は胃が弱いんだから気を付けないと…で、亮くんとはどうするの?」


「来月に離婚調停だよ。でも…子供達どうしたらいいか…」


「綾はまだ若いんだし、これから先の事考えたら…辛いだろうけど…諦めなさい。経済的にも、あっちに渡した方がね…」


「うん…ありがとう…お母さん」


電話の向こうでお父さんが怒鳴ってた。

いつものことなんだけど、お母さんが誰かとおしゃべりしてるのが気に入らないのだ。


「おい!!いつまで喋ってんだよ!!お茶入れろって言っただろ!!」


「今、綾と話してんのよ…」


「そんなの、放っておけ!!」


相変わらず、世間体重視のお父さんは、離婚しようとしている私が嫌いみたい。

「じゃあ、コンビニ行くから切るね」


「綾」


「ん?」


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