自伝
とにかく必死で嘘を並べて、何とか納得させて電話を切った。


この日はもう…まともに仕事をする事もできず、早く家に帰りたい気持ちで一杯だった。


店が終わって、仲間やお客さんの誘いを断って、急いで家に帰った。


もし、悟史さんがいなかったら…


そんな事を考えるだけで、泣きそうになる。


お願い…


お願い…


居なくならないで…

心からそう思った。

家の前の駐車場に車を停めて、急ぎ足で玄関に行ったら、部屋に灯りがついていた!!


「良かったぁ…」


すごい安心して、玄関の鍵を開け


「ただいまぁ!!」


・・・・・・・・・





みんなの視線が一気に、私へ集中する。

「おまえ…そうとうなタヌキだな…」


「何で?」


誰も知らないはずのこの部屋に、親友とその奥さんが私よりもだいぶ前からいたようだった。


悟史さんもいたけどずっと、うつむいてた。


親友はまず


嘘をついた私を猛攻撃し始めた。


「おまえと悟史、俺が認めねぇから。このまま、連れて帰る」


失いたくない私は、逆ギレしまくり自分でも何言ってるのかなんて分からない程必死だった。


親友の奥さんが泣きながら


「とにかく、一緒に帰ろ?子供だって、まだ…赤ちゃんなのよ…」


もう…駄目かもしれない


子供の話しで心が揺らがない人間なんていないよ…
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