自伝

宝物

結婚て…


こういうものなんだろうな…


悟史さんがつぶやいた


「どういう事?」


毎日が楽しくてさ

いつも一緒にいるのに


少し会えないだけでたまらなく会いたくなる


愛しくて


切なくて


いつもそばにいるのが当たり前でも


時々不安になったりしてさ


でも、帰る場所がある限り必ず必要とする


お互いにね


本当に愛してる人とずっと生きて行く確信が持てる


俺はそれを守りたいと思う


綾を守りたい…


「私もそう思うよ。
私達…遠回りしちゃったね…。でも、だから出逢えたんだね」


綾…


お前に出逢えて


良かった


つないでいた手をギュッと握りしめて


アパートに帰った



狭い部屋だけど、私達には丁度いい


広い部屋は距離を作り出しやがて秘密を持つから


情けない姿も


何もかも愛せる


やっと本当の結婚をした気がする


悟史さんといても不思議に1人で居るときと同じで居られる

変にかっこつけたり

見栄もいらない


ありのままの自分を包んでくれる
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