自伝
予定日が近いて足りないベビー用品を買いに駅前のデパートに行った帰り


突然、私は前に倒れた。


「綾!!」


「痛い…」


辺りが騒然とした


2人とも何が起こったのか分からなかった…


見ていた露店の人が

「あの子だよ!あんたの奥さん突き飛ばしたの!!」


振り返った時、走って逃げる女の子がいた


悟史さんが慌てて追いかけその子を捕まえた。


「どういうつもりだよ!!お前何やったか分かってるのか!!」


「悟史さん…い…た…い…」


私は誰かわからない人に突き飛ばされ前に倒れたんだ…


薄れていく意識の中で理解した。


駅前はあっという間に人だかりになり、救急車や交番のお巡りさんが到着した頃には、すっかり気を失っていた。


そのまま、かかりつけの病院へ運ばれた。

幸い、大したことはなかったけど衝撃で陣痛が始まり、そのまま次の日に出産した。


突き飛ばした子は知的障害の子だった。母親が目を離した一瞬の出来事だったらしい。


予定日よりも2週間早く女の子を出産した。


名前はずっと前から2人で決めていた


『春陽』はるひ


と付けた。


一連の連絡を受けたお母さんが病院へ来てくれた


「綾!!大丈夫!?」


「うん。ちょっと擦りむいただけだし、春陽は無事だったしね」


「良かった」


「お母さん、悟史さんだよ」
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