自伝
「初めまして」


「初めまして、大変だったわね。」


たわいのない会話だったけど、とても穏やかで優しい時間だった気がする。


遠いということもあったし、丁度お姉さんが結婚するとかで忙しいらしく私達の所へは、それきり来なかった。


春陽が産まれて益々私達の毎日は楽しくいつも笑ってた


ある日私の実家でお姉さんの結婚を祝って食事する企画があり、悟史さんと結婚して初めて実家に行く事になった。


多分、お母さんの気配りだったんだよね

「広瀬悟史です。よろしくお願いします」


「君は酒…飲めるのか?」


「はい。」


「そうかぁ…良かった」


「?」


「いや…前の旦那も綾のお姉ちゃんの旦那も酒が飲めなくて…娘の旦那と酒を飲むのが夢だったんだよ」


意外・・・


悟史さんはあの偏屈で強情で見栄っ張りなお父さんと和気あいあいとお酒を飲みお父さんは終始楽しそうだった。


そのまま、その日は実家に泊まり翌日家に帰る事にした。


帰りの電車の中で


「良かった…なんか意外だったけど、お父さんよっぽど悟史さんが気に入ってたんだね」


「そうかぁ?多分兄貴が前の店の常連だったし、俺の事知ってたからじゃん…」


「そうだよね(笑)そういえば、良く店でうちの兄貴に遭遇してたよね」


ある意味兄貴が悟史さんのことお気に入りだったし


いろんな意味で良かったね…。
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