自伝
直ぐに石井さんの携帯にかけた。



「おかけになった電話番号は現在電波の届かない…」


電源切ってるよ…


私から何もかもを奪い


手に入れた途端に飽きたみたいな


そんな態度が許せないし


悟史さんをあんなに悲しい思いにさせて

苦しめた


なのに…


石井さんへの憎しみだけが込み上げていた


まっ…今私も恋してるし


明日のことだけを考えよう


運動会の日


雲1つない青空


約束の場所で、陽向君が待ってた


「ごめん…待った?」

「全然!今来たとこだし」


陽向君がしゃがんで

春陽に


「おはよう!」


春陽はもじもじしながら


「おはよう」


「今日は頑張ろうね(笑)」


春陽と手をつなぎ保育園に入って行った

「本当の親子みたい」

石井さんは保育園に一度も来たことがないから


先生達は陽向君がパパだと思うだろうな

「綾!早く!」


「はーい!」


春陽をビデオで一生懸命に取り続けてくれる陽向君


バンドを組んでてギターを弾いてる


自分で曲作りなんかもやってて


とっても真面目で、ちょっとナルシスト

お昼になって


お弁当を広げ始めた時



「!?」


春陽が陽向君の膝の上に座った


自分を慕って来た春陽に


とても優しくしてくれた
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