自伝
別に、石井さんと離婚したくないわけじゃない。


むしろ、離婚したかった


ただ…


悔しかっただけ


小さなプライドが邪魔してただけ


石井さんの思い通りになんかさせたくなかっただけ


部長がああ言ってくれたものの


やっぱり、会社には行き辛くなり


次第に会社にはあまり行かなくなっていた


以前働いていたスナックのママに連絡を取り


また、働かせてもらう事にした。


しばらくして店でゴルフコンペをやることになり


石井さんの車に私のゴルフ用品が入れっぱなしだった事に気付いて携帯に電話した


「はい」


珍しくつながった。

「明日ゴルフでさ、私のその車に入れっぱなしでしょ。取りに行きたいんだけど」


「ああ…取りに来ればいいじゃん」


「どこにいるの」


川越の工場の近くに車を止めて


車の中で寝てるそうだ


早速、夜遅いのにもかかわらず鈴ノ木君に乗せて行ってもらう事にした


鈴ノ木君は私が石井さんに暴力を受けていたのを知ってたから


自分がいれば、手を上げる事はないと思ったらしい。



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