自伝

しばらく考えた後


｢分かった。用意できたら、また連絡する｣


電話を切ってから急に手が震えてきた


｢ふぅ…｣


考えてみれば本当に１人で生活をしたことがない


こんな時いつも誰かがそばにいてくれた

初めて１人の寂しさを知った。


いつか陽向君が言った


｢綾は１人でも生きて行けるよ｣


そんなの絶対嘘だ…

１人じゃ生きて行けないから


いつも誰かを探してた


私だけじゃない


みんな、１人じゃ生きられない


誰かがいるから…


誰かの為に頑張れるのに


私は弱い人間で


誰も幸せにする事が出来なかった。


だから、今私は罰を受ける


誰かの愛する人を奪えば


必ず、自分も誰かに奪われる


私が奪って残された人達の苦しみを


やっと分かった


いつになく、店で飲み過ぎてしまった


客とは絶対に寝ないと決めてたから


飲む事で売上を上げる事しか出来ないし

｢お疲れ様でしたぁ｣

｢ちょっと、綾大丈夫？｣


｢ママ…これでいいんですよね｣


｢あんたさ、相手の女の電話知ってるの？｣


｢知ってますよぉ｣


｢かけてごらん｣


｢えー!?いいですよぉ ｣


｢いいからかけなさい｣