自伝
「プープープー…」


「切れた」


悟史さんと本当に会わなくなってから


3年近くなるのに…

悟史さんの言葉で、思っていなかったセリフを聞いて、心が弾んだ


私はてっきり憎まれていると思ってた


なのに、あんなにひどい仕打ちをした私を…


あなたは、まだ思い続けてくれていたの?…


「コンコン」


「誰かな?…はい」


「俺…」


ドアを開けた


「雄一郎…」


「やっぱ、気になってさ…」


「あっ…そうだ!
明日なんだけど車使う?」


「いや…明日は土曜日だから休みだし」


「じゃあ、貸してくれない?明日知り合いのお葬式に行くんだけど…足がなくて」


「いいけどさ…送って行こうか?」


「ううん…大丈夫;
車だけ貸して…」


「わかった。じゃあ、これ…鍵」


「ありがとう(笑);」


何故、正直に言わなかったんだろう…。

多分、心のどこかで自分を思ってくれる年下の彼を


つなぎとめていたい

そう…思ったんだよね…。
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