自伝
「石井です。初めまして。雄一郎さんはお返ししますので、そのまま、申し訳ないんですがお帰り下さい。」


「あなた、うちの息子に上手い事言って誑かさないで下さい!」


「誑かした覚えはございませんが」


「あなたの言ってる事なんか信用できないわ!とにかく、お宅から息子を連れて帰りますから」


「あの、いったいあなたは私の何を知ってるんですか?何も知らないのにそんな事言われる覚えはないです」


「離婚して子供もいて早く新しいの捕まえたいんでしょ」


「申し訳ないないんですが、もう子供も寝てますから、大変常識の有る方でしょうからおわかりですよね」


「…」


「そうやって27にもなる大人をいつまでも保育園児みたいに迎えに行くとか行かないとか、それもどうなんですか?」


「ウルサいわよ!」


「そんなに心配ならヒモでもつけたらどうですか」


「話しにならないわ」

電話が切れた。


「雄一郎」


「…」


「私の事好きならこれ以上怒らせないで」


「…」


「帰って」


「…」


「帰って!」


重い腰をあげるようにゆっくりと


静かに出て行った
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