自伝
相変わらず、狭くて果てしなく続く螺旋階段を山本さんと一歩一歩上がって幾たびに


私の未来が変わっていく気がした。


でも


結婚に対して何故か踏み切れない自分がいた。


もう…


あんな苦しくて辛い思いはしたくない


多分…それかな


一緒に暮らすのはいいけど結婚はしたくない


山本さんもそんな私を理解してくれていると思ってた。


1ヶ月が経って


山本さんから当然呼び出された。


「もしもし?」


「綾?何してんの?」

「特には…」


「春陽連れて飯食べに行かないか?」


「うん、そうだね」


「じゃあさ、いつもの乗り換えの駅で待ってるよ」


「わかった。30分位で行けると思う」


「じゃあ30分後ね」

「うん、あとでね」


慌てて春陽を着替えさせて


化粧を直して家を出た。


「どこ行くの?ママ」

「山本さんがみんなでご飯食べようって」


「やった!じゃあお子様ランチがいい!」


「はいはい(笑)」


2人で手をつないで急ぎ足で電車に飛び乗った


待ち合わせの場所に立っていた山本さんを見つけ


「パパさん!」


春陽が両手を広げて駆け寄った。


そのまま、抱き上げられ


2人は超仲良しモード


「!?」


思わず山本さんと目が合って


2人で顔が緩んだ


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