自伝

3つの悲しみ

引っ越して間もなく

実家で暮らしているお兄ちゃんの子供


私の甥っ子が入院した


足の骨にできる癌だった。


去年から治療で入退院を繰り返してはいたけど


まだ、17才の甥っ子の体は確実に癌に蝕まれていた。


若い事で進行も早く

片足の切断を選択するしかなかった。


でも…


甥っ子は、足を切る事を選ばず残す事を選んだ。


彼は知ってた

例え足を切断したところで自分の命の保証はかなり低い事を

だから、足を切る事を選ばなかった。


例えそれで、死が近づく事になっても


真っ正面から闘う覚悟だったんだと思う。


お父さんはお兄ちゃんが家を飛び出してから


甥っ子を代わりだと思いかなり期待していたようだ


それでも、初めのころは甥っ子に手がかかるお母さんを


自分の思い通りに出来ないお父さんは、まだ2才だった甥っ子に冷たくあたり


「そんなもん早く孤児院に連れて行け!」

などと残酷な言葉を吐き捨てていたらしい。




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