自伝
「透が…癌て…どういうこと?」


「細かい話しはまた、話すからさ取りあえず直ぐにでも会いに行ってやってよ」


「行きたいけどさぁ…今更どの面下げて会えばいいんだよ…」


「時間がないんだよ!?そんな事後でいいじゃない」


「分かった。明日必ずいくよ病院教えてくれ」


「必ずだよ!」


病院を教えて電話を切った。


その後、どういう形でお兄ちゃんと透が15年間の溝を埋めて行ったのかは分からないけど


毎日必ずお兄ちゃんが病院で付き添うようになっていた


蝉の声が騒がしい昼に私は産婦人科にいた。


「山本さんどうぞ」


「はい」


「丁度、2ヶ月ですね」


山本さんとの間に2人目の赤ちゃんが授かっていた。


夜、早速報告した


「今日、病院行って来たんだ」


「ふ~ん」


「何それ?普通どうしてとか聞かない?」


「どうして?」


「なんか、話すの嫌になってきた。」


「じゃあ、話さなきゃいいじゃない」


「最近、私のこと全く無関心だよね」


「そんな事ないですよ」


「もう いい。赤ちゃん出来たって報告したかっただけ」


「え?」
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