自伝
「相変わらずだね(笑)そうだ、あの頃良く一緒に歌った歌やらない?悟史さんじゃないとダメだからずっと封印してたんだ」


「俺も、あれは綾じゃないと息があわなくてさ」


「嬉しいな!」


最終電車の時間が近づいた


「どうする?」


「…」


「綾のこと抱きしめたい…」


「私も…抱きしめられたい」


何のためらいもなく

5年の月日を一気に飛び越えた。


懐かしい


悟史さんの香り


優しいキスも


優しく髪をなでてくれる動きも


その腕の中にいるだけで幸せだった。


最終電車はもうない

大きな通りでタクシーを拾ってくれた


「気をつけるんだよ」

「悟史さんもね」


ドアが閉まり車は動き出した。


しばらくして


悟史さんの携帯へ電話した。


「かかって来ると思ったよ」


「今まで聞けなかった事があるんだ…」


「何を?」


「私の事…恨んでる?」


「そんな事ないよ」


「いつだって、私を許してくれるんだね」


「だって、俺のせいだし」


「違うよ…違うってば」


涙が溢れてきた


「今まで、どこかでずっと待ってた。期待してた。でも…もう本当にこのままじゃ…」


「先に進めないのか?」


「う…ん…」
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