自伝
店を辞めて他で働く事にした私を


山本さんは私のまえでは笑う事をやめ
ろくに口もきかなくなった


私もいつしか、あまり話さない人になってた


桜夜が保育園を卒園する時期には


私達夫婦は夫婦ではなく


ただの同居人になってた


フクコとの事以来山本さんは私を殴る事に慣れ


毎年一回は110番することも当たり前になりかけた。


いつもなら、とっくに離婚してるのに


何故だか、今度ばかりは我慢してみようと思いどこまでやれるか


自分でも確かめてみたかった。


仕事を変えたおかげで時間的にゆとりができて


保育園もわりと早い時間に迎えに行けるようになった。


同じクラスのお母さん達にも会う回数が増えてきたけど


相変わらず誰が誰のママなのかサッパリ

「まぁ保育園だしもう卒園だしいっか…」


なんて割り切ろうとしてたころに


卒園前のお泊まり会の事で比較的よく会うママから話しかけられた。


「今度のお泊まり会桜夜くんも出席でいいんだよね?」


正直


「お…お泊まり会って…何?」


「あれ?話し行ってなかった?」


来てたはずだけど、ここまできたらもうあまり、関わらないで


当たり障りなく過ごせばいいと思ってたから


参加しないつもりでプリントも読まないで捨てたかも…


< 275 / 284 >

この作品をシェア

pagetop