自伝
「おじゃま…します」
小声でコッソリと部屋へ入った。

早瀬さんはまだ窓際で外を見てた。

すると

「仲田…
お前死ぬほど誰か好きになった奴いるか?」

痛い思い出が
フラッシュバックのように頭の中で駆け巡った。

「ありますよ」

重く答えた。

「俺はないんだ…
結婚はしてるけどその相手を死ぬほど好きなわけじゃない…
今まで、俺はお前の上司だしこれからもそうだよね…

そんな自分がいま1人の女性に
気持ちを全部持っていかれてるんだ…」

早瀬さん…?

「結婚してるのにズルい男だって思わないで欲しい…」

「俺…泣けちゃうぐらい…お前の事好きなんだな…」

両想いだったんだ!

私の方が泣けて来た


「おいで」

その言い方…

たまらなく…好き

早瀬さんの胸の中にそっと抱き寄せられて2人で朝まで、窓際で外を見てた。

次の日は何故か昨日ほとんど寝てないのに、全然眠くなかった。

仕事も無事に終わった。

なんか、寂しかった
帰るのが嫌だった

そんな気持ちを分かってくれたのか

「明日は土曜日か…
お前はなんか予定あるの?」

「特別無いです」

「じゃあ、仕事も片付いたし、日曜日にでも帰るか!!」

「大丈夫なんですか?」
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