自伝

ライバル

2人で迎える最後の朝が来るまで何度も、確かめ合ってた。
そうして、とうとう朝が来て少し早めに会社へ向かった。

なるべく他の人に見られないように…

会社の手前で私は早瀬さんの車を降りて、1人で会社に来たように見せた。

なんか、テレビで良くあるドラマみたい
「おはよう!」

いつもと変わらない顔で挨拶をしながら営業部の部屋へ入って来た。

何となく、下を向いて仕事してるふりをしてしまった。

「仲田!」

「はい!!」

「コーヒー入れてくれないか」

「あっ、はい…すみません」

慌ててコーヒーを入れて、持って行くと
「これ 頼むね」

と言って書類を沢山渡された。

デスクに戻り書類を整理していると付箋が貼ってある書類に気が付いた。

「ランチ一緒にいこうな」

とだけかいたメモが挟まってた。

「すごい…本当にテレビドラマみたい。」

チラッと、早瀬さんを見たら忙しそうに他の人と打ち合わせをしてた。

自分が不倫をしてる感覚は会社では感じなかった…

ただ普通に社内恋愛をしてて、それをみんなに隠してる

そんな感じだった。
溜まってた仕事を一生懸命片付けて何とか、ランチに間に合わせた。

エレベーターに向かう途中で早瀬さんと合流した。

「おぅ!間に合ったな」

ニッコリして

エレベーターに乗った。

同じ部の人達が乗り合わせたエレベーター…

私の隣の席の川上大介が

「早瀬さん今日ランチ何処行くんすか?」

「今日は仲田とツーショットだ、残念ながらお前は無理」

えぇー!?
そんな事言って大丈夫なの!?

と心の中で叫んだ

すると、誰にも分からないように…

私の手を握った。

川上大介は

「まじですか?
いいなぁ仲田さん今日は部長のおごりで」

「ばーか 打ち合わせが有るんだよ。」

そう言いながら、笑ってた。

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