自伝

感情

そのまま踏み出そうとした時だった

「どうした?大丈夫かぁ?」

と言いながら少し大人びた表情で私の頭をタオルでくしゅくしゅした。

「俺 2年2組の等々力佳祐よろしく」

ニヤリと笑った顔も何かいい感じ。

「まったく、しょうがねぇなふざけて間違って落としたんだろ、下に女子がいるのわかんなかったんだな ごめんね」

今度はとっても優しい表情。

「あのぉ 髪…バサ…バサに…」

佳祐はハッと気付いて手を止めた。

一息ついてから私は話し始めた。

「ありがとう 。でも偶然じゃないんだ、私知ってるよあの教室にいるアイツ付き合ってたんだ。ふられちゃったけど、だから今日仕返ししてやろうと思って乗り込んだ半分会いたかったの」

なんか泣けて来た。
涙が大きな目からこぼれ落ちそうだった

でも、もういいよ…

「よくないよ」

佳祐が私の手をとり校舎を見上げた。

すでにそんないきさつに気が付いた男子が窓際に集まってた
そんな彼らに向けて佳祐が大きな声で

「俺の彼女に缶投げた奴はだれだ!」

私の手をギュッと握りしめて

「大丈夫だから」

「なぁそこのお前誰がやったか知ってるんだろ」

と優しい表情はなく鋭い目で睨みつけてた。




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