自伝
「初めまして…アシスタントの仲田です」

続いてゆかりが

「私は企画の石田です」

と挨拶をした。

奥さんは花瓶を窓のそばにおいて
早瀬さんのベッドの脇に行き寄り添いながら

「初めまして」

とだけ言って私を見てた

すかさず

「あなたが早瀬のアシスタントなの?」

と、何となく気に入らなそうに聞いて来た。

早瀬さんが

「おい…失礼だぞ」

奥さんはムスッとしてた。

ゆかりが場の雰囲気を察してくれて

「すみません…私達これで失礼します。お大事に」

と言って私の手を引き病室を出た

出る間際に何故か川上君の吊る下げられた片足を叩いて

「川上のドジ!」

「ひっでぇ~」

そんなやり取りをして病院を後にした。
帰り道ゆかりが思い切ったように…

「奥さん完璧に綾がアシストしてるの気に入らなそうだね」

「だね…」

「実はさ…綾が入る前は私がアシストだったんだよ…部長の…」


「そうなんだ
全然知らなかった」


「綾がうらやましい」

「なんで?」


「だって、いつも部長の側に居るじゃん」

ゆかり!?

・・・・まさか!?

「好きだったんだ
少し前までね…
振られちゃったけど…正確に言うとまだ、好きなんだけど…」
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