自伝

Last Xmas

「お帰り」


「…ただいま…」


「今から逢えないかな」

一瞬、大好きなはずの人からの誘いに少し(面倒くさい)と思う自分を疑った。
直ぐ我に返って


「何処に行けば、いいですか?」


「実は…もう綾の家の前にいるんだ…」


・・・・!?・・・・
かなり、びっくりしたおかげで目も覚めて


「すみません今起きたばかりで、直ぐ行きますからもう少し待っててもらっていいですか?」


「いいよ ゆっくりで」


「ありがとうございます!」


慌てて支度して家を飛び出した。

グレーのBMWが家の前の道路に止まっていた。
その存在感は私の住んでいるこの街には少し不釣り合いな程貫禄があった。

運転席へまわり窓を軽く叩いた。

窓がゆっくり開いた

「乗りなよ」


・・・ドキッ・・・
早瀬さんの大きな目が、口もとが、笑顔に変わる瞬間を見た

やっぱり早瀬さんが大好きな事に気が付いた。


静かに助手席に座りドアを閉めて車が動き出した。


「ここから海近いんだろ?」


「そうですね、東京って言っても橋の向こうは千葉ですから。船橋の港とか浦安とか、何処がいいですか?」


「じゃあ 船橋にしようか。俺、行った事がないんだよ」


「いいですよ(笑)あそこは夜のデートスポットなんですよ」


「ちょうどいいな(笑)」


そうして、私達は湾岸線から船橋の港へ向かった。


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