自伝
それから…結婚に向けてはあっという間だった。


世の中の形式通りに事は進み、後は式を待つだけになっていた。


早瀬さんの事を忘れられないでいる私を亮ちゃんは理解してくれていた。


Xmasの日に早瀬さんとけじめをつけるために会いに行く事を進めてもくれた。


そうしなければいけなかった。


その時

私のお腹の中に新しい命がいたから


亮ちゃんはとても喜び、亮ちゃんの家族もとても喜んでくれていた。


早瀬さんとはこれでいいんだと…


自分を言い聞かせた

何度も…何度も…


妊娠や結婚の事は会社には言わずに辞めた。


結婚式の一週間前に当日司会をすると名乗る若い男の人から電話があった。


「打ち合わせをしたいので、此からお会い出来ませんか?」


「えっ?今からですか?」


時間は夜の8時を過ぎていた。


とっさに、不信感を感じ


「それでしたら、私ではなく相手の方に連絡して頂けませんか?全てあちらにお任せしてるので…」


「いえ、あの…」


やっぱり変だ


何とかして私を呼び出そうしていた。相手に


「誰かに頼まれたかは聞きませんが、伝えて下さい。」



「ありがとう…と」


電話を切った。


早瀬さん…でしょ?もし、今私が妊娠していなかったら…
迷わず、全てを適にして早瀬さんに会いにいってた…。


これで…いいんだ…
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