自伝
どれだけ時間が経ったんだろう…。

麻里英のぐずる声でやっと、現実に戻りつつあった。


「ただいま!」


亮が翔を保育園から連れて帰って来た。

「ねえ、亮ちゃん今日このままいいかな」


「いいけど、俺も会社戻らなきゃ行けないから、あっち(実家)に連れて行くよ」

「わかった」


「何処行くの?」


「別に…」


何だか家族とか夫とかそういうのから自由になりたかった。

こないだ婦人会で行った店へ向かった。

「いらっしゃいませ!!」


「おぉ?綾ちゃんじゃない!1人?」


「うん…」


「週末だから少し混んでて、取りあえずカウンターでもいい?」


「うん…全然大丈夫」

「あっち空いたら移るから」


「てか、ずっとカウンターでいいし」


「何飲む?」


「ヘネシーのロック」

「シブいねぇ…じゃあ、クラッシュアイス作ってあげるよ。味が優しくなるから」


「ねえ!悟史さんの歌が聴きたいな」


「いいよ。何がいい?」


「泣けるやつ」


いらっしゃいませ!!

「ごめんちょっといい?必ず歌うから」


「うん…」


続々と来る女性客


忙しいんだね


男性客も多く、カウンターは特に慣れ親しんだ客が座る場所らしい。

いつの間にか周りの人達と仲良くなり、この店の仲良しメンバーになりつつあった。
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