四十六億年の記憶
それから
死ななかったわたしは、今日もミルクティーを飲む。
甘ったるい茶色の液体はわたしの体を巡る。
水が地球を循環するように。
彼はわたしに置き土産をしていった。
金属の塊。ニッケル合金と固体の鉄。
冷え切ったそれは、六千度の愛。
紛れもなく、彼の内核。
対流するマントルよりも、どろどろに融けた外核よりも熱い愛。
「ありがとう、いただきます」
きっともう二度と土を食べようなどと思わないだろう。
きっともう二度と大量の食物を一度に食べたりはしないだろう。
わたしは躊躇せず、その愛を飲み込んだ。