四十六億年の記憶
「……。好奇心旺盛かつ噂好きの高校生が、何もありません、で納得すると思うか?」
本当に疲れているようだ。いつも生気の無い顔がさらに酷いことになっている。
「それは大変だったな。しかし、門限はいいのか?いつもならとっくに帰っている時間ではないか」
彼女の質問は無視して自分が気になったことを聞いてみる。
「無視か。今日は家に誰も居ないんだ。私が遅く家に帰ろうと問題ない」
そうか。ならいい。今日は時間を気にせず話に付き合わせよう。
ようやく運ばれてきたアイスミルクティーを、彼女はストローを使わずグラスから直接啜った。
じゅるじゅる、と上品とは言い難い音を立ててミルクティーは彼女の体内に吸収されていく。
年頃の女子がそんなに下品で良いものか。
「君、ストローくらい使ったらどうだ。音を立てて飲むな」
「余計なお世話だ。放っておいてくれ」
……この娘にはそういう意識がないのか。