霞草畑と私
あぁ、助けなくていいのに。
日向くんは皆に優しいから。
あたしなんかを助けたら、女子の皆に反感買っちゃうよ。
なんて思ってたら、ひょいとあたしを持ち上げて、保健室まで連れて行った。
「あ、あの、そこまでしなくていいからっ!」
そう言っても、日向くんは黙ってる。
胸の鼓動が高まる。
男子に保健室に連れてってもらうなんて、初めてだし…。
「和佳先生、木々野さん、走ってる途中に転んだんです。ほら、膝から血がでてる。」
「あら〜優しいヒーローね」
和佳先生が冷やかす。
「何言ってんだよ!」
日向くんが否定する。
「赤くなっちゃって!」
「なってねーよ」
「あははっおっかしー!」
「笑った」
日向くんがあたしの顔を指差した。
「え?」
「初めて笑顔見た」
「初めて?」
あたし、そんなに笑ってなかったんだ。
「笑顔、可愛いな。もっと笑えばいいのに」
ドキ……――