優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】
「雪穂ちゃんもいい男が現れたら、大雅なんか捨てるのよ。一人だけを愛する人は世の中にたくさんいるんだから」


「はい」


「幸せになりたいならあたしの忠告を忘れないでね」


「…はい」





アヤさんはまるで大雅とは幸せになれないと分かっているみたいだった。


今のあたしには幸せは大雅にしか見えないのに。


あたしもいつかアヤさんのように大雅を諦めて、他の人と幸せを描く事ができるんだろうか?



今はまだ、大雅に期待してしまう。


いつか、あたしだけを愛してくれるんじゃないかって……。






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